『鍵のレスキュー』に解錠を依頼した話

鍵のレスキューへ連絡

 この記事は、『一人暮らしで家(賃貸)の鍵をなくした時の行動と解錠方法【経験談】』の【業者に連絡し解錠を依頼】項目についての詳細となっています。

 

サイトによると『最速5分で現場に来る』らしく『鍵を開ける作業なら5,800円~』という文面がデカデカと掲載されている。

父に言われるままに連絡をしてみると、受付の女性の声。まずは名前と住所を聞かれる。
一通り返答した後、最後に「30分から1時間で到着します」と言われた。

サイトの『最速5分』とは一体なんだったのか。

早速疑念と誇大広告の不信感に心が淀みつつ、念のため見積もりを聞いてみることにした。

すると面相臭そうな声で「うーん…14,000くらい…ですかね」との返答。

『鍵を開ける作業なら5,800円~』とは一体なんだったのか。
何を前提に5,800円などと謳っているのか。

受付の女性の対応といい不信感が募りに募り余計鬱々としながらも、そうは言っても仕方ないのでとりあえず自宅に戻り、レスキュー到着を待つことにする。父も同行してくれることになった。

※後々この『鍵のレスキュー』が〇ッタ〇リだと噂されていることを知ることになる。私は業者を探す場合、各サイトをレビューも含め見比べながら吟味して決めるのだが、この時はその精神的余裕が無かったために父に言われるがままに従ったという形。

オートロックマンションにおける注意点

レスキューを呼ぶ際、オートロック付きのマンションの場合は特に注意が必要である。

私の部屋に辿り着く前にエントランス前のオートロックドアを開ける必要があるが、鍵をなくしているので開けることが出来ない。業者を呼んでも部屋に辿り着けずエントランス前で立ち往生することになる。

今回は、裏口の扉から入り部屋前まで辿り着くことが出来た。
裏口の扉を開ける為には鍵が必要だが、この扉は建付けが悪く隙間が出来ていることがよくある。幸いなことに、このずさんさが救いとなった。

裏口から入りオートロックドアの向こう側に回り込み、そこでレスキューの到着を待つ。
結局来たのは連絡してから1時間後。到着5分前に連絡があり、そこで「マンションでオートロックでして…」と伝えると、一瞬不穏な(困ったような)空気になったので、部屋の扉は解錠可能でもオートロックドア自体は解錠不可能なのだろうと察した。

鍵の種類と解錠方法

20:00過ぎ、レスキューが到着。20代後半~30代前半くらいの男性が1人。
担当エリアが県内全域らしく、別の案件からここまで直行だったという。そのため到着までに1時間かかったということだった。

早速エレベーターで自室の扉前に向かい、まず身分証を提示し本人確認を行う。次に鍵の種類と内鍵の種類を確認してもらう。この種類によって解錠の難易度が変わり料金も変動する。

自室の鍵はディンプルキー(PR錠)
ディンプルキーはピッキングに強く、開けることは困難を極める(というよりも不可能)らしい。
参考:ディンプルキー

さらにディンプルキーは合鍵作成を普通の鍵屋で行うことができない。純正キーのメーカーのサービス代行店に依頼する必要があり、即日作成することはできない(納期は3~4週間程度)。
内鍵(サムターン)はスイッチ(ボタン)式
つまみについている小さなボタンを押さえながら回転させることで解錠できる。
参考:スイッチ式サムターン
参考:スイッチ式サムターンの操作方法


ここでディンプルキー(PR錠)だと知ったお兄さん「あぁー…」

内鍵がボタン式だと知ったお兄さん「あぁー…ボタン式ですか…」
そして「ここのマンションはセキュリティがしっかりしていますね」とお褒めの言葉が。

つまり、解錠は中々に困難だということだ(内鍵がつまみ押し込みタイプや引き出しタイプ、パタンテ類の場合だと、解錠難易度が更に上昇するとのこと)。

ディンプルキー(PR錠)はピッキングでの解錠は不可能。更に内鍵がボタン式の為、解錠にはより高度な技術を要する。

PR錠の場合、普通のシリンダーと違いその解錠の難解さから料金も上昇する。

 

解錠には2通りの方法がある
①シリンダーを破壊し物理的に開錠する。最終手段。

②ドアスコープを破壊し、そこから特殊な器具を挿入して内鍵を回し解錠する。

自宅の内鍵はボタン式だが、②の方法で解錠できるということなのでこの方法で作業して頂くことになった(ただし100%解錠できるということではない)。

ここまで説明を聞いたところで、見積金額の確認と了承のサインをする。
業者によっては解錠作業中に『やっぱり無理だから別の方法にする』と次から次へと解錠方法を変更しそのたびに追加料金が発生したり、当初の見積もり金額に比べ大きく値上がりし客と業者間でトラブルになるケースがあるらしく、その回避のために事前にプランを決め料金を確定し、先に書類にサインをしてもらう方法をとっているそうだ。

解錠にかかる費用

料金の内約について
◆出張費:4,000

◆鍵の種類(PR錠):98,000※
領収書に書かれていなかったが、恐らくここに内鍵の種類追加で5,000

◆値引き:73,000
◆消費税2,320 合計31,320(税抜29,000) ※PR錠の金額については、ダブルロックの場合(シリンダーが2つ付いている場合)だったと説明を受けた気がするので(呆然としていた為記憶が曖昧)、1つだけなら半額の49,000ということになる。
内鍵はボタン式で解錠難易度が高い為、通常の内鍵に上乗せで5,000(と言っていた気がする)


ここが一番の謎で、「シリンダーが1つなので値引きします」と言っていたような気がするのだが、それにしてもなぜ値引き額が73,000なのだろうか。

解錠領収書

 作業完了書兼領収書

というのも、シリンダー1つの場合は値引き額は半額の49,000なので、これだけしか料金が発生しなかったとしても提示された合計料金31,320よりも高くなるはずなのだ。
更にここに出張費4,000と内鍵の種類追加5,000を足せば合計料金は58,000になる筈で、どう考えても31,320と合わない。

73,000とは一体何の値引きなんだ…。
その場で聞けば良かったのだが、やはり茫然自失状態だったのでその余裕はなかった。

※ちなみに、検索すると『高いので値引きを交渉するとあっさり大幅に値引きしてもらえた』という話を見たので、実際は提示金額よりも安価なのかもしれない。故に『〇ッタ〇リ』や『足元を見ている』と言われているのだろうか。

解錠作業開始

遂に解錠作業開始。
まずはドアスコープをキリのような器具で勢いよくぶっ刺して破壊する。
さらに挿入する器具のサイズの関係で、ドアスコープの周囲をドリルで削る。

ドリルで削った後は、ドアスコープに挿入する器具を作る。
ドアスコープとドアノブの距離をメジャーで測り、それに合わせて曲がった金属棒や謎のパーツやボルトを使用し組立てていく。
この器具はボタン式を解錠するために自社開発したものだそうだ。曰く「このタイプを解錠できるのは自社だけ」らしい。

完成した器具をドアスコープからするすると入れていく。
この後もアレコレと様々な作業をこなしていく(あまりに詳細を記載するとよろしくないので省略する)。この器具の長さがとても重要で数ミリ変わるだけでうまくいかなくなるという。途中引き抜いて調整していた。精密で正確な作業が求められる。

30分~1時間が経過したころ(朦朧としていたので時間経過が曖昧だが恐らくこの時間内)黙々とアレコレ作業をこなしていく内に、ドアの向こう側から「ガチャン」という音がした。

お兄さんがドアノブに手をかけ引くと、ゆっくりとドアが開いた。解錠成功!思わず声が出た。

使用した器具による内鍵の回し方、内鍵と器具の現在の状態を解説してくれる。
内鍵の周辺はとんでもないことになっていた。どうすればドアスコープから内鍵の距離でこんなことが出来るのか、唖然とした。

ボタン式の内鍵はつまみを押しながら回すという工程が必要なので解錠には技術を要すると言っていたが、なるほどこういうことかと思った。
お兄さん曰く「思ったより早く解錠できた」とのことで満足げだった。


使用した器具を取り外し、最後に同じ型の新しいドアスコープを取り付ける。ドリルで削った際の傷はこれによって隠れる。それよりも元からある年月が経過した周囲の茶サビのほうが目につく。

書類確認や器具片付けの際にお兄さんが「寒いので部屋に入っていてください」と気遣ってくれたのだが、私はそのまま作業が終わるまでその場に突っ立っていた。解錠後も未だに呆然としている脳内で、部屋に入ったとして全くくつろげる気がしないし申し訳ない。そして寒さを忘れている。

最後に料金を支払い、エントランスまで行き感謝の言葉を述べ深くお辞儀をしつつお兄さんを見送った。

終わりに(感想)

検索するとよく散見される料金の件について、私は初めての利用だったので特に疑問を感じなかった。このくらいはかかるのだろうという感想(値引きの詳細は気になる)。
他の業者と比較すれば料金の差が可視化され、この料金設定がどの程度の位置付けなのか一目瞭然となるが、それをする気はない。解錠の目的は達成された。

鍵の種類がディンプルキー(PR錠)、内鍵がボタン式というピッキング解錠不可能な案件で『開錠』せずに『解錠』に成功した技術と、鍵をなくしたという私自身の失態を考えれば妥当だと考える。

ただ、デカデカとサイトに明記されている『現場到着最速5分』『鍵を開ける作業なら5,800円~』は誇大広告だと感じる。分かりやすく現実的な数字を提示してほしい。

更に受付担当の女性の対応がよろしくない。業者の窓口である受付があの面倒臭げな話し方&態度は一社員としてあり得ないし、印象悪化に拍車をかける。

それはそれとして、解錠作業をして頂いた作業員のお兄さんは素晴らしかった。
解錠説明、料金説明、解錠作業(技術)、解錠後の説明、その間の就業態度、どれをとってもしっかりとしていて問題が見当たらない。不満が一切出てこない。

鍵紛失で最重要となる、解錠に関わる作業員が非の打ち所のない人で本当に良かった。