HDDデータ消去に失敗→物理破壊した話【HDD廃棄】

HDD廃棄の経緯

室内をシンプルに整えるべく始めた整理整頓中。
長年使用していない&今後使用しないであろう品物を選別していく中で、以前から処理に困り無視を決め込んでいた古いHDDと改めて対面することになった。
以前から処分しようと考えてはいたもののそのまま廃棄するわけにもいかず、更に廃棄処理が面倒臭いので放置していたのだ。

廃棄の前にまずHDDのデータ完全消去を行わなければならないが、業者へデータ消去依頼をするのが面倒臭い。お金もかかるし何より連絡自体が怠い。

そうはいっても、放置していてはどうしようもない。
10年前のHDDなので寿命が近い。しかもUSB2.0なので転送速度が非常に遅い。今後も絶対に使用することはないだろう。

この機会に重い腰を上げ、廃棄作業に取り掛かるしかない。

フリーソフトによるデータ消去(失敗)

自身でHDDのデータを消去し廃棄することにした。

自宅で簡単に即実行できるフリーソフトでデータ完全消去を試みる。

いくつかあるフリーソフトの中で『WipeDisk』を選択。

無意味なデータを上書きしHDDデータを完全消去する。特別複雑な操作は必要とせず簡単に実行できるところが良い。

ドライブ選択でデータ消去したいHDDを、消去メソッドでデータの上書きレベルを設定する。後はボタンを押すだけで実行してくれる。
上書きの種類は手軽なものから入念なものまで14種もある。フリーソフトとは思えない充実ぶり。

入念なほど高秘匿になるが、処理完了までに時間がかかる。一番手軽な[WipeDisk – 低秘匿(1x)]でもそれなりに時間がかかる。

今回は【[WipeDisk – 通常秘匿(2x)]データを2回上書き(0x00を1回上書きの後、特殊な文字列で上書きする)】を選択した。

ボタンを押し、データ消去開始。

進行ゲージを眺めていると、一向に進まない。数字は動いているが、ゲージの進捗具合が捗らない。気長に待つことにする。

暫く時間が経過した後ふと画面を見てみると、進行ゲージが満タンになっていた。
思いの外早く完了するのだなと不思議に思いつつ再度確認してみると、

〈ボリュームにデータを上書きできません〉
というようなエラーメッセージが表示されていた。

2回上書きのうち1回目の上書き直前にエラーが発生、停止していたのだった。

自身のHDDと秘匿度の相性が問題なのかと考え、一番低秘匿な【[WipeDisk – 通常秘匿(1x)]データを1回上書き(特殊な文字列で1回上書き)】を選択しデータ消去を試みる。

結果は同じく〈ボリュームにデータを上書きできません〉の表示。低秘匿でもエラーが発生するという結果に。
最低秘匿な設定でもエラーが出るということは、HDD自体の問題なのだろうか。

この〈ボリュームにデータを上書きできません〉というエラーは、検索しても原因も解決方法も一切見当たらない。同じエラーが発生したという記事はいくつか確認できたので、自分のHDDが原因だとは言い切れない。

この時点で、『WipeDisk』を使用したHDDデータ消去は断念することにした。

他のフリーソフトを使用する手もあるが既に猛烈に面倒臭くなっているので、手っ取り早く物理破壊によるデータ消去法へ切り替えることにした。

物理破壊によるデータ消去

◆HDDの物理破壊の手順
①外側のネジを外してフレームを取り外す

②中にあるプラッタに傷をつけ読み取り不可の状態にする(または歪める、粉砕する)

◆トルクスネジの外し方について
HDDに取り付けられているトルクスネジは特殊で、普通のドライバーでは外すことが出来ない。トルクスネジを外すには専用のトルクスドライバーが必要になる。

勿論所持していないので購入しなければならないのだが、HDD分解以外でトルクスネジを付け外しする予定は一切ないので、この為だけに購入するのは躊躇われる。

どうにかして別の方法でトルクスネジを外せないか調べたところ、『ネジザウルス』というどんなネジでも掴んで外せるという製品の存在を知った。

ネジザウルスでトルクスネジを外す

ネジザウルスは用途に応じた様々なサイズが用意されているので、HDDのトルクスネジ外しに適していそうなサイズを選び注文した。

ペンチのような形状になっていて、ネジを掴んで外す他に薄い板を挟むこともできる。
トルクスネジを外すだけでなくプラッタを挟んで歪めることもこれ1本で完結し、HDD破壊後もペンチとして日常で使用できるので無駄にならない。

外側のトルクスネジをネジザウルスを使って外していく。

動作は簡単で、ネジを挟んで軽く捻るだけ。特に力は必要ない。普通のネジを外すときのような力加減であっけなく緩めることが出来た。

本当に感動した。こんなに簡単に特殊なネジが外せてしまうのかと。

順調に6箇所のネジを外し、残りの左下2箇所のネジを外すところまで来たときにある問題が浮上した。

透明なテープが貼られている窪んだ箇所のネジが、ネジザウルスの幅では嵌らない。

事前に調べたとあるサイトには、私が購入したサイズと同じネジザウルスを使用して全てのネジを外していた。また、ネジザウルスが例の窪んだ箇所に入り込みネジを掴んでいる画像も載っていたので完全に信用していた。

どうやら私のHDDは、そのサイト主のHDDとは構造が違ったようだ。迂闊だった。

どうやってもネジザウルスが窪みに入らないので、駄目元でドライバーの代わりになりそうなものを探して無理やりネジを外そうと試みる。
(マイナスドライバー、眉カット用ハサミの先端、キーケースの金具の先端、カッター刃の先端)

しかし僅かな期待も虚しく徒労に終わる。


ここまできて解体できない事態になるとは思いもよらず、完全に作業が停止してしまった。

この2箇所のネジを外さなければフレームを外すことはできないので、内部のプラッタまでたどり着けない。

作業が進展しないので素直にトルクスドライバーの購入を考え始めるが、折角ネジザウルスを購入し活用してきたのだから絶対に諦めたくない。
また、作業を中断すれば一気に面倒臭くなりそのまま放置し続ける未来が見える。やるなら今しかない。

そこで、手持ちのドライバーを駆使して別の方法でHDDを破壊することにした。

HDDのフレームを外さずプラッタに傷をつける

現在、トルクスネジは6箇所外してある。残る2箇所を外さなければフレームを取り外すことはできない。
しかし、この状態でもフレームを半分ほど持ち上げて開くことが可能だ。
残る2箇所のネジが下方に取り付けられているので、ネジがない上方だけはどうにかこじ開けて隙間を作ることが出来る。
かなり力を入れなければ開くことができないので、下手をすると指を挟む。

この隙間から鋭利な器具を挿入し、プラッタに傷をつけていくという作戦である。

手持ちの100均ドライバーセットから、青と黒の2本を使用する。


①フレームを手で半分こじ開ける。

②こじ開けた隙間に青と黒のドライバーを差し込み、常に開いた状態にする。


③差し込んだ黒のドライバーの先端で、プラッタに傷をつける。



力を入れて上下に動かすと、深い傷がつけられる。

一部だけでは心配なので、黒のドライバーの先端でプラッタを回しながら位置を変えて全面に傷をつけていく。
ガリガリと表面を削り取る感じで傷をつけると、削りカスが出てくる。

この時に黒のドライバーの上部がフレームと接触し、ドライバーにスリ傷がつくことがある。

気の済むまで傷をつけられたら完了。ここまで傷だらけにすれば流石に復旧不可能だろう(多分)。

取り外したトルクスネジと傷をつけたHDDは、不燃ごみとして処分する。
これは住んでいる都道府県や地域によって分別が異なるので要確認。

おわりに

想定外の問題が発生したことで、本来ネジザウルス1本で完結する筈が無駄に時間と労力を費やしてしまった。

当初は、「HDD分解以外ほぼ使用することが無くなるトルクスドライバーよりも、どんなネジでも簡単に取り外すことが出来てペンチとしても使用できるネジザウルスの方が、値段を鑑みても実用性が高い」という考えだった。

しかし今回のような、HDDによってはネジザウルスがネジ周りの窪みに入らなかった事態が起こることを考えると、素直にトルクスドライバーを購入するべきだったと考える(使用頻度については考えない)。購入費用も、物によるがトルクスドライバーの方が安い。

それはそれとして、ネジザウルスは素晴らしかった。あれほど簡単にネジが外せてしまうのには感動した。
分解したHDDのトルクスネジは綺麗なものだったが、潰れたネジやサビたネジも外せてしまえるので、1本持っていて損はない。今後も愛用していこうと思う。