一人暮らしの高齢者(シニア)が借りられる賃貸マンションについて考える

何故高齢者(シニア)は賃貸住宅を借りられないのか

まず調べてみると、賃貸住宅に住むことについては《年齢制限が無い》ということだった。

では何故高齢者が借りられなくなるかと言えば、大家が渋り嫌がるからだという。
大家の所有する賃貸住宅で高齢者が病気等で死亡した場合、その後の後処理や貸出に影響が出るためだ。
その為、保証会社の審査も通りづらくなる70歳以上の高齢者は、賃貸住宅を借りられなくなる傾向が高いらしい。

ではどうすれば良いのか?

まず候補に上がっていたのが『公営住宅』だ。
公営住宅であれば、70歳でも借りることができるのだという。

もう一つは『UR賃貸(都市再生機構)』が供給・管理しているという公団住宅である。UR賃貸では高齢者向けのサービスを提供しているという。

下記にて『公営住宅』『UR賃貸住宅』の2つ違いを調べてみることにする。

 

※保証人や緊急連絡先については『【賃貸】緊急連絡先に指定する身内がいない時の対処法について考える』に記載しています

 

公団住宅(UR賃貸住宅)、公営住宅の違い

▼参考:「団地」のメリット、デメリットとは?マンションとはどう違うのか?
https://www.homes.co.jp/cont/living/living_00057/

般的に団地と言えば日本住宅公団(現・都市再生機構)による公団住宅、または都道府県や市町村による公営住宅を指すことが多いでしょう。

昭和40年頃までに建設された団地は5階建てでエレベーターがないケースも少なくありません。エレベーターがあっても小さく、家具や大型家電品の搬入が困難な場合もあるでしょう。
俗に「団地間」と呼ばれる小さなサイズの畳が使われていることもあるので、部屋の大きさをしっかりと確認することが大切です。

◆公団住宅(UR賃貸住宅)
日本住宅公団は昭和56年に住宅・都市整備公団(住都公団)へ、平成11年に都市基盤整備公団(都市公団)へ、さらに平成16年に都市再生機構(UR都市機構)へと変わっています。

この間、国内の住宅が量的には充足されたことや民間マンションと競合する面が多くなったことなどを理由に、平成11年に分譲住宅の供給を停止しました。
現在(2020.07.03)、住宅部門では賃貸住宅の供給のみが行われ、公団住宅の名称も「UR賃貸住宅」とされています。

◆公営住宅
一方、日本住宅公団の設立よりも早く昭和26年に制定された「公営住宅法」に基づいて、自治体による建設が始まったのが県営住宅、市営住宅などの「公営住宅」です。
こちらは当初から住宅に困窮する低所得者、高齢者などに対して低い家賃で賃貸することによる、セーフティ・ネットとしての役割が主な目的となっているため、
同じ時期の民間住宅に比べて面積が狭く、立地条件もあまり良くないケースが少なくありません。

公営住宅

住宅低所得者向けに都道府県や市町村などの地方公共団体が運営する。
入居条件(家賃)世帯全体の政令月収が15.8万円以下(決められた水準以下の収入である事が条件)。
保証人必要な場合もある。また、礼金・更新料・仲介手数料が不要。
入居方式抽選(入居希望者が多い)。

UR賃貸住宅

住宅都市再生機構が運用する。品質の良い鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートで造られている。
入居条件(家賃)平均月収額が基準月収額以上あるか、貯蓄額が基準貯蓄額(月額家賃の100倍)以上ある場合(原則として一定の基準以上の収入がある事が条件)。※特例あり(以下記載)
保証人不要。また、礼金、更新料、仲介手数料が不要。
入居方式先着順。

UR賃貸住宅の借り方

▼参考:UR賃貸住宅TOP URの借り方 お申込み資格
https://www.ur-net.go.jp/chintai/rent/requirements/
次の1~5の条件をすべて満たせば入居可能
1.申込者本人の平均月収額が基準月収額以上ある方
2.日本国籍の方、またはURが定める資格を持つ外国籍の方で、継続して自ら居住するための住宅を必要とする方
3.単身者もしくは現に同居し、または同居しようとする親族のある方
4.申込者本人を含めた同居世帯全員が、URが定める入居開始可能日から1か月以内に入居でき、物件内で円満な共同生活を営むことができる方
5.申込者本人を含めた同居世帯全員が暴力団員などではない方

1.の『平均月収額が基準月収額以上』は単身者の場合、家賃額が62,500円未満の場合に4倍の基準月収額が必要となる。

(例)家賃額5万円の住戸の基準月収額→平均月収額が家賃額の4倍の20万円必要。
以降は基準月収額が固定額となる(各25万円、40万円)

これだけ見れば、1.の時点で高齢者の居住は絶望的である。

しかし、1.に関しては別の制度や特例がいくつかある。
参考元を読みながら、高齢者に適用されるであろう制度・特例各1ヶを書き出してみた。

◆貯蓄基準制度について
申込者本人の貯蓄額が、基準貯蓄額(月額家賃の100倍)以上ある場合、1.に定める収入要件を満たさない場合も、それに代えることができます。』

・基準貯蓄額
家賃額の100倍
(例)家賃額6万円の住戸の基準月収額は、家賃額の100倍の600万円です。

 

◆収入基準の特例について(抜粋)
申込者本人の平均月収額や貯蓄額が基準月収額および基準貯蓄額の1/2以上ない場合

高齢者・障がい者・父子母子世帯・満18歳以上の学生の方は、収入が基準月収額の1/2に満たない場合でもお申込みできます。

※高齢者・障がい者・父子母子世帯・満18歳以上の学生の方については、以下のとおりです。
・高齢者の方
申込み日現在において満60歳以上の方

いくつかサイトでUR賃貸住宅を検索してみたが、備考欄等に《高齢者限定》や《高齢者NG》当の文字が見当たらなかったので、申し込む際には収入基準の特例に基づいた高齢者である旨を伝える必要があるかもしれない。

公営住宅の借り方(申し込み方法)

▼参考:公営住宅の申し込み
https://kurashi.yahoo.co.jp/procedure/details/10006388

◆単身者の場合の条件
60歳以上、障害者手帳を持つ(等級による条件あり)、DV被害者、生活保護受給者など。
世帯全体の政令月収が15.8万円以下であることが基本的な条件となる。

◆申し込みに必要な書類
①入居申込書(自治体ごとの書式)
②住民票(続柄記載のもの)
③所得を証明する書面(最新年度の証明)
④健康保険被保険者証(写し)
⑤納税証明書(市税などの完納証明)

詳細は、各自治体の公式サイトにて確認すること。

申し込み例(※千葉県の場合)

▼参考:千葉県営住宅入居者募集案内
https://www.chiba-kousya.or.jp/jutak/mosina_f.html

◆入居までの流れ
①申込(募集月の15日消印まで有効)
②抽選会(募集月の月末頃)
③入居資格審査(関係書類提出〈募集月の翌月上旬から中旬〉)
④入居適格者決定
⑤入居説明会(募集月の翌々月中旬から下旬)
⑥入居(説明会から15日以内)

申し込みから入居決定まで3ヵ月かかる。

 

◆案内書配布時期
県営住宅空家募集案内・空家募集団地一覧表は各募集月の前月末頃に【募集案内・申込書配布先】窓口にて配布(例えば市役所など)。

① 申込方法(郵送のみ)
受付期間(募集月の1~15日までの消印があるものに限り有効)
入居申込書に必要事項を記入し、申込書下部の指定箇所に63円切手×2枚、申込書送付用封筒に120円切手を貼り、入居申込書を入れて募集受付期間内に郵送する。

②-1 抽選会の案内
申込書記載の住所にハガキにて、抽選番号及び抽選会の日時・場所が通知される。
※入居申込書に切手(63円×2枚)が貼られていないと抽選番号及び抽選結果通知が出来ない為、要注意。

②-2 公開抽選会
希望者は抽選会を見学することができる。抽選結果については抽選会終了後、千葉県住宅供給公社での掲示及びホームページ上に掲載される。
抽選は入居者を決定するものではなく、入居資格審査対象者を決定するものである(資格審査に合格しなければ入居することはできない)。

②-3 抽選結果通知
◆当選者(入居資格審査を受けられる人)
入居関係書類の案内が送付される。
入居関係書類案内に入居資格審査の会場・日時及び提出する書類が記載されているので、来社のうえ審査を受ける。

◆補欠者
補欠当選通知のハガキが郵送される。
当選者が辞退・失格となった場合、繰上当選となる。
その際は改めて入居関係書類の案内が送付されるので、来社のうえ審査を受ける。
繰上とならなかった場合、補欠無効通知のハガキが郵送される。
補欠無効通知ハガキは、落選通知のハガキと同様に特枠該当者の要件「公開抽選4回以上落選世帯」の優遇措置を受ける際に必要となる為、保管しておくこと(補欠無効通知ハガキの再発行はなし。5年間分まで有効) 。

◆落選者
落選通知のハガキが郵送される。
落選通知のハガキは、特枠該当者の要件「公開抽選4回以上落選世帯」の優遇措置を受ける際に必要となる為、保管しておくこと(落選ハガキの再発行はなし。5年間分まで有効)。

③入居資格審査
所定の会場・日時に世帯全員の住民票・所得証明書・落選通知等の書類を持参のうえ資格審査を受ける。
提出した書類や審査により不備があった場合、さらに必要な書類を期限内に提出することになる。
指定された日時までに不備書類の提出がない場合や収入基準を超過している等、申込(入居)資格がない場合は失格となる。
④入居資格審査の結果
◆入居適格者(合格者)
請書(賃貸借契約書に代わるもの)・敷金納付書・受領書・入居説明会の案内等が郵送される。

◆失格・辞退者
失格通知・辞退通知が郵送される。
次回の申込については1回目の取扱いとなる。
⑤入居説明会
入居説明会の案内に記載された場所・日時に来場する。
説明会は入居に関しての注意事項などが説明される。
※入居説明会前までに敷金(決定家賃の3か月分)を納入する。入居関係書類の提出確認後、鍵が渡される。入居可能日から日割家賃が発生する。

⑥入居
入居可能日から15日以内に入居すること。住民の異動手続き、入居報告書等を提出する。
入居後は、毎年6月から7月頃に収入申告書を提出し、これに基づき毎年の家賃を決定する。この収入申告がない場合は、近傍同種の住宅の家賃額となる。
県営住宅に入居し3年経過後に収入基準額を超えた場合は、住宅の明け渡し努力義務が生じる。
県営住宅内では、犬、猫、鶏、鳩、小動物等の動物を飼うこと及び餌付け又は預かりは禁止されている。

家賃のほかに共益費(自治会が徴収するもの)として、
①水道料(公共水栓)
②電気料(受水層、共用灯)
③エレベーター保守料
④集会所
⑤浄化槽等共同施設

上記の維持費がかかる。

申込み区分について

申込住宅は『一般住宅』『特別割当住宅(特割A型・特割B型)』に区分されている。

◆特別割当住宅(特割A型・特割B型)

特割A型身体・精神・知的障害者世帯、高齢者等世帯、公開抽選4回以上の落選世帯。
特割B型[障害者又は高齢者に配慮した住宅] 身体・精神・知的障害者世帯、高齢者等世帯

 

◆一般住宅(うち下記は特枠世帯)
○公開抽選4回以上の落選世帯
○母子及び父子世帯
○配偶者から暴力を受けている被害者世帯
○犯罪被害者等世帯
○引揚者世帯
○身体・精神・知的障害者世帯
高齢者等世帯
○成田国際空港騒音対策区域内居住世帯
○都市機構建替世帯
単身者
○子育て世帯
○被災世帯

単身者の『要件』には《60歳以上の者》の文字があった。

公営住宅申込みの倍率について

▼参考:単身者向け公営住宅の抽選倍率の高さは異常
https://note.com/buriko555/n/n7649f6fa7f00
埼玉県営住宅の抽選倍率(H29年1月募集)は以下の通り。
一般住宅2.27倍
子育て支援住宅2.70倍
高齢者・障害者住宅2.83倍
単身住宅14.09倍

『単身住宅』がずば抜けて高倍率なのが気になるところではあるが(単身者といっても上記に挙げた『単身者の要件』の中の各項目にあるような様々なパターンが混在していると思われる)、幸いなことに高齢者・障害者住宅は2.83倍と他の住宅とそこまで差異はない。現在(2021/8/17)は分からないが、そこまで悲観的になることはないだろう。

UR賃貸住宅の考察(いくつか検索した感想)

UR賃貸住宅は、礼金・仲介手数料・更新料・保証人不要なところが良いが、家賃が高い。当然だが家賃が安い場合はその分築年数が高い。東京都は築年数が高くてもそれなりに家賃が高い。
さらに言えば千葉県、東京都区外の場合、交通の便が悪い。

団地なのでエレベーターがない(東京都を除く)。高齢で住むのだから3階以上の階は絶対に避けるべきだろう。
部屋数がファミリー向けなので掃除は大変そうだ。
他の普通のマンションでも在りがちだが、やはりモニター付きインターホン無し多し(これはこだわりの問題だが)。存在していても(東京都)家賃が高い。

ただ、上記にも記載した特例の『高齢者・障がい者・父子母子世帯・満18歳以上の学生の方は、収入が基準月収額の1/2に満たない場合でもお申込みできます。』とあるので、やはり要問合せ、要相談ということになるだろうか。この辺りのやり取りは調べても出てこなかった。

【番外】サービス付き高齢者向け住宅とシニア向け分譲マンション

調べていくうちに、『サービス付き高齢者向け住宅(「サ高住」「サ付高住」)』『シニア向け分譲マンション』という名の賃貸住宅の存在を知った。
第一印象は、充実し過ぎている安心安全贅沢な富裕層向け高級高齢者住居。
低所得者には全くもって無縁である。

▼参考:サービス付き高齢者向け住宅とシニア向け分譲マンションの違い
https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/list/house/service/hikaku_mansion/

▼参考:サービス付き高齢者向け住宅とは?老人ホームとの違い
https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/list/house/service/

どちらも同じサイトで良くまとめられており、大変分かりやすかった。

なお、サービス付き高齢者向け住宅へ入居するには連帯保証人・身元引受人が必要となる。
連帯保証人になれる人が見つからない場合は、高齢者住宅財団の家賃債務補償制度を利用することになる。

▼参考:家賃債務保証制度のご案内 – 高齢者住宅財団
https://www.koujuuzai.or.jp/pdf/page02_03_06.pdf

◆対象住宅
高齢者住宅財団と家賃債務保証制度の利用に関する基本約定を締結している賃貸住宅。

※公営住宅は対象外。

◆保証料
2年間の保証の場合、月額家賃の35%。
原則入居者負担で、契約時に一括で支払う。

(例)月額家賃が10万円の場合、支払い保証料は35,000円。