30代が始める歯列矯正経過記録【10】

前回と同じく、気休めにバファリンを服用する。
あの時の汗が噴き出るほどの激痛を思い出すと鬱々としてくるが、仕方がない。月に一度の、ほんの数十分の辛抱だ。

それに痛い思いをしている分、目に見えて歯列が変化している。

上前歯の左右の側切歯。前回の時点で前歯への重なりがかなり改善されているのだが、現時点でさらに重なりが軽減されている。右の側切歯に至ってはほぼ前歯の横に位置するようになった。1ヵ月でここまで歯が動いたと思うと感動する。左の側切歯もほぼ重なりがなくなったものの、まだ若干前歯の裏に位置している。そして右に比べて歯の傾きが大きい。ここはまだ矯正の余地がありそうな具合だ。

下前歯の中心に斜めに生えている中切歯。前回の処置で正面に戻すよう左右の歯を外側へ引っ張るためのバネが取り付けられたが、1ヵ月経過して確実に中切歯の左右に1mmくらいの隙間が生まれている。

隙間が出来始めて気になったのは、中切歯側の側切歯の根本に茶色い汚れが見え始めたこと。これは歯ブラシや歯間ブラシで執拗にこすっても取れない類のものだった。

恐らく以前に、斜めに生えた中切歯の裏及び左右の側切歯に茶色い汚れが沈着し、それを歯科でこそぎ取ってもらった時の名残だと思われる。歯磨きでは歯列的に、取り除くには困難な箇所になる。この露出した隠れた汚れも歯科に行けば落としてもらえる筈だ(それはずっと先のことになりそうだが)。

呼ばれて診察台に向かうと、足元に電気毛布が置かれていた。台に座り足を乗せると仄かに暖かい。スタッフさんに「ひざ掛け使いますか?」と聞かれ、こういうところにも気を配ってくれているのだなと感心した。

スタッフさんに歯列状況を確認してもらい、上の側切歯の締めていたワイヤーを切る。この時も痛みがあるが、微々たるもの。そして院長先生にも確認してもらい、スタッフさんへ次の工程を指示する。

今回は、
①上の右側切歯のブラケットの取り外し&取り付け。
②それに伴うワイヤー締め。
③上下前歯に取り付けていたパワーチェーンの交換。

新たにブラケットを取り付ける作業。
ブラケットの取り外しは前回と同じくゴリゴリと削り取る(勿論歯は傷つけない)。
このゴリゴリこそぎ取るときの振動と圧力が、歯に響いてきて痛い。声を漏らすほどではないが、眉間にシワが寄る程度には痛い。

新たにブラケットを取り付けた後のワイヤー締めは、今回はスタッフさんが行う。
ワイヤーの取り外し&取り付け&締めが一番痛いのだが、今回は新ブラケットと既存のワイヤーを括り締め付けるだけだったこともあってか、予想以上に圧倒的に痛くない。
前回及び前々回との落差に思わず『ちゃんと締まっているのだろうか』『痛みがそれほどでないということは、歯の移動に変化が起こらないのでは』と、妙に心配になるレベルで痛くない。

会計の際に、普段から使っている専用歯磨き粉とCiタフト小(歯間ブラシ)を購入。

終了後帰宅してからは、上前歯が食事の際に若干痛むだけで他は特に支障もなく、矯正歯科に通い始めてから初めて穏やかな1日を過ごせた。