親知らず抜歯のために口腔外科へ行った話

口腔外科が見当たらない

兼ねてより言われていた、歯列矯正に伴う親知らずの抜歯について、ようやく決心がついたので紹介状を手に大学病院へ向かうことにした。

予約について事前に病院のサイトを調べてみると、予約したとしても状況によりズレ込むとの記載があったので、予約必須というわけではなさそうだと判断した。そのため、予約なしで直接病院へ向かう。

通勤電車で通過していた、名前だけは知っているが下車したことのない某駅で下車。そこから徒歩10分ほど歩いたところにある。

院内に入ると、広さの割に人が多くごみごみとしていた。大学病院と聞いていたので大きいのかと想像していたが、私が通っている精神科のある総合病院と比べると明らかに狭い。

まずは目に飛び込んできた初診外来受付の窓口へ向かう。ここも人が長蛇の列をなしている。自分の番が来ると、保険証と紹介状を提示し、診察カードを作成してもらう。その後書類と紹介状を挟んだ赤いファイルを手渡される。予約の有無を聞かれたのでしていないと答えると『予約していないと大変混み合っており予約者が優先で呼ばれるので時間がかかる』と言われた。どうやら予約しなかった私が悪かったようだ。サイトに予約必須と記載してほしかった。
ファイルを持って2階の口腔外科へ向かうのだが、歩けど探せどまったく見当たらない。壁沿いに各科の受付窓口の小窓があるのだが、どこにも口腔外科がない。2階を1周したところで、壁にある各科の場所を示した案内板を発見した。やはり他の科と同じように壁沿いに並んで存在しているようである。書かれた箇所は先程通ってきた道だ。仕方なくもう一度書かれた場所へ歩いてみることにした。
すると、2階の角、階段がある突き当りの壁に《→口腔外科》と書かれた看板を発見した。どう見ても目の前は壁で行き止まりなのだが、恐る恐る近寄ってみると、右のほうに階段の陰で死角になっている細道があるのを発見した。これは気付けない。あまりに初見殺しである。
ようやく見つけた細道を辿っていくと、やはり壁際に各科の受付の小窓がある。しかし口腔外科だけは見当たらない。代わりに両扉が開け放たれた状態になっており、その奥には手術着のような服装をした人たちがバタバタと忙しそうに動いていた。どう見ても受付ではない。手術室の中を垣間見ているような気さえしてくる。そんな雰囲気なのだ。

口腔外科発見

本当にここなのか?入っていいのか?手術室の間違いか?と恐る恐る首を伸ばして様子を伺うと、受付台と思しき場所にいる職員の方が「どうぞ」と声をかけてきたので、中に入りファイルを提出。すると紙が挟まれたバインダーと体温計を手渡された。予約の有無を聞かれ、していないと答えると「かなり待ちますが時間は大丈夫ですか」と冷静に早口に言われた。大丈夫としか言いようがない、そして実際時間もあるので了承し、近くの椅子に座り熱を測り始める。
36.7。平熱にしては高い気もする。だがこんなものだろう。
書き込みも終わり再度受付へ提出する。今度は銀行員のような制服を着た女性だった。呼ばれるまで暫く待つことになり、先ほどの椅子に座る。
かなり待つと言われたからには、夕方を覚悟するべきなのかもしれない(現時刻10:15頃)。
長丁場を覚悟しながら少し待っていると、名前を呼ばれた。先ほどの職員が手にファイルを持ちながら出てきて、差し出しながらこの後放射線室へ行って歯のレントゲンを撮ってきて欲しいと言った。ここから突き当たりの階段を降りて右へ進むと放射線室があると言う。
上の案内板を見ながら恐る恐る向かう。

放射線科へ

階下に降り、突き当たりをひたすらまっすぐ進んでいくと、正面に放射線科とかかれた大きな受付が見えた。周囲に人はいない。他のフロアに比べ静まり返っていた。若い男性職員にファイルを渡し、暫く側にある椅子で待つ。
程なくして後方から名前を呼ばれ、立ち上がりながら振り返ると、右側に松葉杖を持った若い男性職員がドアから体を覗かせて立っていた。思わず凝視してしまった。
小さい部屋に入ると、まず荷物を側の籠に入れる。金属品は全て取り外してほしいということで、口内に装着しているリテーナーを外し持参した専用ケースに入れる。回転椅子に座ると、小さな箱を差し出された。中に入っているものを1つ取り出し、凹み部分に前歯を乗せて噛む。後はよく見る機械に顎を乗せ、レントゲンを撮る。
終了するとファイルを手渡された。再度2Fの口腔外科受付へ向かい、ファイルを提出する。今度は手術着(?)を着た恰幅の良い女性だった。チラリと受付台に目をやると、同じ赤いファイルが4つ程並んでいた。想像するに、赤は初診専用なのだろう。他の人達は緑のファイルを手にしていたからだ。
この後は紙に印字された番号を呼ばれるまでひたすら待つことになる。

真横に生える親知らず

11:00前後に、待合室のモニターに番号が表示された。まさかこんなに早く呼ばれるとは思ってもみなかった。精神科で待っている時と体感変わらない。
席に通され、備え付けのうがい薬でうがいをして待つ。目の前のモニターには先ほど撮影した歯のレントゲンが表示されている。
程なくして女性の職員が現れ、診察を開始する。
歯を見ながら「CRです」と側にいる職員に伝えている言葉を聞きながら、昔働いていた歯科でも同じことをしていたことを思い出す。
今日は抜歯はせず、現在の状態と今後の流れについての説明がなされた。
まず親知らずについて、上顎はまっすぐに生えているので簡単に抜けるが、下顎は真横に生えて頭以外は骨に埋まっているので難しくなるということだった。
下顎の親知らずを抜くには、麻酔後切開して露出した歯を半分に切断し頭部分を摘出、そして根の部分を摘出するという2段構えになる。
また、下顎の、特に左側は神経と近い場所から生えており、より慎重に処置を行う必要があるという。

抜歯後もその神経が麻痺状態(麻酔と同じ状態)となり、暫く顎先や舌先の感覚がなくなる症状が出ることがあるというのだが、抑える専用の薬が処方されるということなので問題はない。
抜歯1時間前には、今回処方される抗菌薬3錠のうち2錠を服用する(残りの1錠は抜歯後)。
一度に4本抜くと痛みと腫れで大変なので2回に分け、上顎下顎の左右どちらか一方の2本を抜くことになる。1回目は私の希望により、特に難しいと言われた左側各2本を先に抜くことになった。
また、左側の歯と神経の距離を2次元(最初に撮影したレントゲン)だけでなく3次元で詳しく知りたいと言うことで、この後同じ放射線室にて3次元用のレントゲンを撮影することになった。

まさかの4月

診察室を出て、再度呼ばれるまで暫く待つ。
番号で呼ばれ、抜歯、抜歯後の経過観察、抜糸の日時をまとめて予約することになったのだが、非常に混雑しているらしく、早くても4月の始めになるということだった。
最初は「1月」の聞き間違いかと思ったが、1月始めは過ぎている。思わず「し、4月ですか?」と聞き返してしまった。3ヶ月も間が開くとは予想していなかった。

再び放射線科

無事次回予約も取り、再び1Fの放射線科へ向かう。同じ男性職員にファイルを渡し、松葉杖を右に持った同じ男性職員に呼ばれ、同じ個室に入る。
最初の時とは違い、何も噛まずそのまま顎を乗せ撮影するのだが、3次元用は時間がかかるらしく、「暫くその状態で動かないでください」と言われた。とは言っても大した時間ではない。

午前中に終了

これで全て終了した。長蛇の列をなしている総合受付の料金計算窓口にファイルを提出し、処方箋と番号の書かれた紙を渡される。番号がモニターに表示されたら、右側の精算機で支払いする。これは精神科で通っている病院と同じなのでスムーズにできた。時刻は11:56。

予約無しの為かなり時間がかかると言われたこともあり長丁場を覚悟していたが、こんなに早く終わるとは思わなかった。
次回は大分先の4月初旬。できればすぐにでも抜歯してほしかったのだがここまで大混雑しているとは思わず、嫌な事が先延ばしにされてしまった形となった。