【歯列矯正】高難易度な親知らずを抜歯した話

2度目の来院

遂にこの日が来た。
親知らずの抜歯施術の日。

無事病院に到着し、まずは再診受付と書かれた窓口へ並ぶ。
13:30頃であるが、平日のせいもあってか人はとても少ない。初診で来院した時とは真逆である。
受付窓口には再診受付のほかに隣に料金受付窓口があり、ちょうどそこが空いたタイミングで呼ばれたのだが、私は再診なのでそのままその場から動かずにいた。するとまた料金受付から声がかかったので、再診であると伝えると「隣の機械でお願いします」と言われた。
実は初診の時から気になっていた。精神科の病院と同じように、診察カードを挿入し、出力された予約日時の書かれたレシートを持って目的の科の受付に向かうというシステムではないかと。
やはりその通りのようなので、既に2人が操作している所を観察した後、空いている機械で同じように操作をする。この病院では、出力された紙を下に備え付けられている緑のファイルに入れて各受付に持っていくらしい。
2度目なので迷うことなく2階の口腔外科の扉の前まで来たのだが、開いている筈の扉が閉まっている。扉を少し開けて中を確認するが、受付にも誰も人がいない。
扉を閉めてまじまじと扉を眺めていると、張り紙が目に入った。それによると、14:00までは休憩中ということだった。ということは、14:00きっかりに一斉に受付が始まるということか。
時間が来るまであと20分もある。後ろの席で待とうと振り返ると、すでに2~3人が座って待っていた。私もそれに習い、座って待つことにする。

14:00きっかりに扉が開き、「受付を開始します」と声がかかった。2人が中に入っていくのを見て、私も入る。ファイルを渡し、スティック状の器具で額から熱を測る。その後、電光掲示板に番号が表示されるまで再び待つ。

すぐに番号が表示されたので、中に入っていく。前回と同じ先生が担当だった。
診察台に座ると、まずは抜歯後の状態について細かな説明があった。そして同意書に署名する。

地獄の抜歯施術開始:左下

ここから、いよいよ施術が始まる。
左下から麻酔注射を始めるのだが、歯科であった『麻酔の前の塗るタイプの麻酔』がなかった。そして注射が深い。しかしこの程度の痛みは散々麻酔されてきたので慣れている。

ここからが地獄であった。

左下の親知らずは真横から生えており、普通に引っ張って抜くことができない。その為、歯を真っ二つに割り、細かくしてから抜くという方法で抜歯する。
顔に口元だけが空いた布を乗せる。手術でよくある、あれだ。
胸元にまたがってホースが乗る感触。そして今まで聞いたことのない、器具で歯を削るような音が聞こえてきた。工事現場で耳にする機械のような、繊細さのない無骨な音とガリゴリという感触が続く。
なにが驚愕かといえば、麻酔をしているにもかかわらずズキっとするような、冷えた鋭い痛みが時折あるのだ。それは施術時間に比例して増していく。痛みがあれば手を上げるように言われていたが、ここで初めて手を上げた。耐えられない。
眉間に皺がよるだけでなく、ぎゅっと握った手からは脂汗が吹き出し、背中もじっとり脂汗で湿っている。本当に耐えられない時は「ん゛ん゛っっ!!!!」とくぐもった呻き声を上げた。
間隔をあけて麻酔を計2本追加してもらったが、それでも上を突き抜けていく痛さ。メリッ、バキッと歯を抜く音。焦げるような臭い。
痛みのピークは、歯を抜く際の押された時の圧力だ。
この時は特に「ん゛ん゛っっっーーー!!!!」と何度も呻き声を上げる位に痛い。先生から「これは(麻酔でも)どうしようもないので、頑張ってください」と言われ、身をよじらせそうになりながら必死に耐えた。
この痛みは歯列矯正の時のピークに相当するか、それ以上だと言える。
バキッという音と「全部抜けましたよ」と先生の声。
ようやく、左下の親知らずが全て抜歯完了した。

地獄の抜歯施術開始:左上

「このまま上もいけそうですか?」と尋ねられ、頷くとすぐに左上にも麻酔注射をかけられ、2本目の抜歯が始まった。
麻酔が効く間、左下の患部を糸で縫っているらしい。感覚は全くないが、口角に糸が当たったので気づいた。

左上は真っ直ぐに生えているので、歯列矯正の時の抜歯と同じく全く痛みはないだろうと鷹を括っていた。
しかし、左下と同じく歯をグッと押された瞬間、先ほどと同じ痛みが蘇った。引き抜く時もバキバキと音がして、痛い。おかしい、何故こんなに痛いのか?あの時は微塵も痛みがなかったのに?親知らずは例外なのか?
そんな思考がグルグルと瞬時に巡っていく間に、時間がかかることもなくすぐに抜歯が完了した。

抜歯施術終了

患部にガーゼを当て、噛んだ状態で体を起こされると「大丈夫ですか?」と声をかけられる。放心状態のまま頷くと、抜歯後の注意点について説明があった。紙を見ながら説明を聞くのだが、話が半分しか頭に入ってこない。そして、先生のフェイスガードには血が点々と飛び散っていた。

抜歯した歯を見せてもらうと、左下の親知らずは真っ二つに割ったことが分かるし、歯の体裁を保っていない。

左上はきれいに歯の状態を保っていた。歯を持ち帰るか聞かれたので、それを指差し、持ち帰ることにした。
親知らず抜歯_左下

この後も説明が続いたが、頭に入ってこない。「ガーゼを……もう一度戻ってきて……会計後……」までは朧げに聞こえてきたがそれ以上は分からなかった。
診察台から立ち上がり、ファイルを手に一旦待合室の席に座る。抜歯した左上の親知らずと、同意書と、ガーゼと、施術前に外したリテーナーを鞄にしまい、先ほどの説明を思い出そうと試みる。
確か会計後にここに戻ってくるように言われた気がしたので、1階に降りて料金受付に並ぶ。時計を見ると15:00近くで、大体1時間の施術だったことが分かる。
精算機で会計した後、再び2階に上がり口腔外科の受付へ向かい、先ほどの事情を話すと、番号の書かれたカードを手渡された。この番号が呼ばれるまで待つ。
程なくして呼ばれ、受付近くの椅子に座る。どうやら噛んでいたガーゼを外す為だったらしい。
少し出血が多いらしく、気になるようなら先ほど頂いたガーゼを噛んで止血してほしいということだった。

こうして、全ての過程が終了した。

薬局にて処方された痛み止めの薬とうがい薬を受け取り、帰路に着く。
まだ麻酔は効いているものの、鈍痛はする。

経過観察ということで、明日も行くことになっている。
とにかく今日は疲れた。放心している。
まだ手をつけていない右上下の親知らずが残っていると思うと、思考が停止する。

追記

1ヵ月後の5/18に、残りの右上下の親知らずの抜歯が完了した。
親知らず抜歯_右下

抜歯内容や激痛は前回と同様で、やはり放心状態だった。しかしこれで親知らずは消滅し、抜歯のために口腔外科に通う必要がなくなったという解放感と達成感で、とても気分が爽快であった。
ちなみに上記には記載していないが、抜歯から1週間後に傷口を縫った糸の抜糸があった。
「少しチクチクしますよー」と声をかけられ、すぐにピンセットのような器具で糸をつまんでいる感覚が伝わってきた。確かにチクチクするが、あの時の激痛に比べれば屁でもなかった。時間もほとんどかからず、抜糸のみであっさり終了した。

これにて、本当に全ての抜歯施術過程が完了した。

▼左2本は歯列矯正前半で抜歯した歯(後半に抜歯した歯2本は処分されてしまった。声をかければよかったと後悔している)、右2本は今回の親知らずで抜歯した歯
抜歯4本まとめ_1

抜歯4本まとめ_2